ID : 10273
公開日 : 2009年 1月26日
タイトル
あの木片 宮大工棟梁・小川三夫さん
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新聞名
MSN産経ニュース
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元URL.
http://sankei.jp.msn.com/culture/arts/090127/art0901270808000-n1.htm
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写真:
写真が掲載されていました
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紙よりも薄い1枚の木片は、窓ガラスに貼(は)ると、光が透けてきた。端から端まで、見事なまでに均質な厚みで削り出されていた。
「かんなくずとは、こういうもんや」
名棟梁(とうりょう)といわれた西岡常一(つねかず)が、たった一人の弟子だった小川のために、すうっとかんなを引き、手渡してくれた1枚だった。
弟子入りを許されたのは昭和44年、21歳のとき。奈良・法隆寺のそばにあった西岡の家に住み込んだが、師匠は「これはこうやって、ここはこう」というような教え方はしなかった。
ただ黙って刃物を研ぎ、誰もいないかのように一人で木を扱う。その姿を手本に、ひたすらマネをするというのが修業だった。
最初にてこずったのは、刃物の研ぎ方。仕事先の寺を自転車で往復する西岡に急ぎ足でついていくのが日課だったが、その合間にも、拾った棒切れなどで研ぐ手つきの練習をした。だが、どういう状態に仕上げるのが
いいかもよくわからず、なかなかうまくならない。
そんな小川に、西岡がくれたのが、一片のかんなくずだった。研ぎ方、刃の調整、かけ方…あらゆる技術が完璧(かんぺき)でないと、こうはならない。ついつい材木の仕上がりに目が向くが、削りくずにも技術の差は出る
。くずと呼ぶのが失礼なほど美しい木片は、さまざまなことを教えてくれるお手本になった。
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