ID : 10206
公開日 : 2009年 1月21日
タイトル
伝統建築技術を伝承--重文級の社寺など修復する宮大工
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20090120ddlk25070515000c.html
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元urltop:
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写真:
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伝統建築技術を伝承--重文級の社寺など修復する宮大工、西澤政男さん(64)=彦根市
近畿を中心に全国を飛び回り、国宝や重文級の社寺や城などの解体・復元修理を手掛ける、宮大工の西澤政男さん(64)=彦根市城町2。修業時代を含めると、この道40年近くになる。今では、業界の先頭に立ち、現
場で腕をふるうとともに、伝統技術の伝承や後継者の育成などに尽力している。昨年11月には卓越した技能を持つ人をたたえる厚生労働省の「現代の名工」にも選ばれた。この道を選んだきっかけやこれまでの活動、
今後への意気込みなどを聞いた。【松井圀夫】
◇設計から施工まで関与
--この道に入ったきっかけから。
祖父の広吉(故人)は日光東照宮を造営した甲良大工の流れをくむ甲良町で修業をした大工でした。私は6歳のころから、祖父に連れられて建築現場に行き、そこを遊び場にしていました。そのうち、材料を運ぶなどの
手伝いをして小遣いをもらうようになりましたが、けっこう楽しかった。祖父の姿が私の宮大工としての原点と言えます。県立短大建築科を卒業後、ごく当然のようにこの道に入りました。
--その後の活動は?
父・秀太郎(故人)のもとで5年間修業した後、30歳のころ、重要文化財の金剛輪寺三重搭(愛荘町)の解体・復元工事に一大工として参加しました。3年余り、県教委の技師や先輩から宮大工としての基礎をみっちりた
たき込まれ、設計も習いました。この経験が大きな財産になっています。
--これまでに手掛けた仕事は。
国宝の西明寺本堂(甲良町)や彦根城天守を始め、近畿を中心に全国で30棟以上の文化財修理にかかわりました。新築でも高度な技術を生かし、「設計から施工までやれてこそ大工」と自負しています。04年に手掛け
た禅長寺本堂(和歌山県)はまさにそれです。この仕事では、第1回「木の建築賞」もいただき、思い出の仕事です。
地元の多賀大社社殿やスミス記念堂などの修復工事も手掛けました。常に第一線で技術を磨き、研究を重ねることを心掛けています。「大工技術の最高峰」とされる中世の建築技術を修得し、文化財の保護と伝統建築
技術の保存・継承に尽力しているつもりです。
--今後への意気込みを。
00年に文化財修理などを手掛ける全国の大工や工務店経営者と力を合わせて「日本伝統建築技術保存会」(会員73人)を結成し、会長に就任しました。04年にはNPO法人化して技術の伝承や後継者育成など幅広
い活動をしています。
私の経営する西澤工務店では現在、宮大工を目指す若者のために寮を造り、25人以上を受け入れています。この子たちが伝統技術を修得して巣立ち、一人前の宮大工として全国で活躍してくれるのが楽しみです。
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■提言
◇建て替えでなく修理延命
分業化が進む建築界だが、かつての棟梁(とうりょう)のように設計から施工まで大工が関与し、100年後の子孫たちに、建て替えではなく修理延命してもらえるような素晴らしい建築を目指すべきだ。
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■人物略歴
◇にしざわ・まさお
1944年、彦根市生まれ。社寺建築設計施工や国宝・重要文化財修理修理工事などを手掛ける「株式会社西澤工務店」代表取締役。文化財修理技術保存連盟副理事長。1級建築士、1級技能士、文化財建造物木工主任
者認定。
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