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ID : 10049
公開日 : 2009年 1月 7日
タイトル
新・四国のちから(5)森林と家川がつなぐ
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://mytown.asahi.com/tokushima/news.php?k_id=37000000901060003
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元urltop:
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写真:
写真が掲載されていました
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 「ブーン、ブーン」と、チェーンソーが低くうなり、木がバリバリと音をたてながら倒れていく。昨年12月初め、高知県四万十町役場から車で15分ほど走った山あいの町有林では、間伐作業が行われていた。密 集した中から、太さが近い木を残し、周囲の木を切っていくと、暗かった地面がだんだんと明るくなり、空が見えてきた。
 同町は現在、キリンビール(本社・東京都)や四国電力(同・高松市)など4社と「協働の森」を提携、1年に25ヘクタール前後を間伐する。キリンは、台風で木が倒れた森でツバキやサザンカを育て、社員などと地元住 民が交流。また、四電は社員教育の場に使っている。同町林業政策監の田辺由喜男さん(52)は、「協定は間伐だけではない。企業と町で森について考え、それぞれの森の様子にも個性が出ている」と説明する。
    ◇   ◇     県面積の84%を森が占め、「森林率」日本一の高知県では、企業と市町村が協定を結び、森林整備活動などを行う「環境先進企業との協働の森づくり事業」を05年度から続けている。19市町村が、08年末までに36の 企業や団体とパートナーズ協定を締結した。締結した企業の協賛金を元に、間伐や作業道の整備などが行われる。
 県ではさらに07年度から、協働の森で吸収される二酸化炭素(CO2)量を計算し、「CO2吸収証書」を企業に発行している。07年度は3件、CO2換算で1114トン分、08年度はこれまでに17件、同2519トン分を発 行した。香川県も、08年度から同様の制度を開始。高知から始まったこの制度を四国4県にも広げ、将来的に統一の証書を作ろうと検討を始め、連絡協議会を08年10月に設置し、情報交換を行っている。
    ◇   ◇    国産木材を積極的に使うことで、森林保全を進めようとする動きもある。高知県産の木材を使った家作りを提唱している嶺北木材協同組合(高知県本山町)の田岡秀昭さん(57)たちは、吉野川の下流域の徳島などに、 上流の高知県嶺北地域の木々を使った家を建てる活動をしている。
 きっかけは、00年に建設の是非を巡る住民投票が徳島市であった吉野川可動堰問題で、建設反対運動をした生協組合員の近藤こよ美さん(53)と設計士の野口政司さん(57)らが、上流域にあたるこの地域に注目し たことだった。「川の問題は森の問題。吉野川の環境を守るには源流の森の保全が必要だ。そのために、人の手が入らず荒れている森の木を使わなくてはいけないと考えた」と近藤さん。野口さんや田岡さんと共に、NP O法人「里山の風景をつくる会」(徳島市)を設立した。現在、近藤さんが代表理事を務める。
 「里山の家」と呼ぶ嶺北産の木材を使った家の設計をした野口さんは「家造りのために木を切れば森に金が返る。その金で山の人たちは植林し、新しい森が作られる。植林すれば、CO2を吸収する力のある若い木が増 えていく。山の循環の手伝いをしたい」と話す。嶺北地域の木を使った家は徳島市を中心に約50棟がある。大阪府高槻市にも新たに5棟が建設中だ。
 上流と下流、木材を通じた交流は江戸時代からあったという。財政危機に陥った土佐藩は、嶺北地域の白髪山の木を切って吉野川経由で大阪に運び、その金で財政を立て直したと伝えられる。木材を流した運河は「土 佐堀」(大阪市西区)、嶺北地域にある白髪山の木材を陸揚げした付近は「白髪橋」(同)と、大阪には現在も、ちなんだ地名が残る。
 田岡さんは「街と森が一緒の家造りをすることで、産地と消費地がつながる。四国の木を使って欲しい」と願っている。
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