ID　：　9112

公開日　：　2008年 10月17日

タイトル

秋田スギニカ経営難　森林組合から不明朗な資金

新聞名

毎日新聞

元URL.

http://mainichi.jp/area/akita/news/20081017ddlk05020004000c.html

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木材業界の記事です

◇地域林業への影響懸念 　山を育て、秋田杉など県産銘木の普及を目指す－－。こんな目的を掲げ、横手市森林組合（同市山内、組合員約１６００人）が中心となって設立した県南木材高度加工協同組合（同市柳田、秋田スギニカ）。国・県や横手 ・平鹿旧８市町村から計８億円の助成を受けて木材処理加工施設を建設したが、厳しい状況に追い込まれている。収益の伸び悩みに加え、森林組合側からの不明朗な資金の流れも明るみに出て原木供給がストップ。さら に森林組合の経営も悪化し、地域の林業関係者に影響が及ぶことが懸念されている。【佐藤正伸】 　■膨れる損失額 　「どうしてこんなことになったのか」 　１５、１６日に５カ所で開かれた横手市森林組合の組合員向け説明会。借入金が９月末現在で３億２０００万円、繰越損失金も９３７０万円に達する事態に、出席者から厳しい意見が出た。
　収支悪化の最大の要因は、同組合と組合員２０人が０４年２月に出資金６４００万円で設立し集成材を製造販売する秋田スギニカ。森林組合の“子会社”ともいえる存在で、国が旗振り役となった「木材の新しい流通加工 システムモデル整備事業」の認可を受け０５年６月、県横手第２工業団地に大規模な工場を建設した。
　年間売上高は操業初年度が７０００万円で、０６年度は２億６０００万円、０７年度には４億８０００万円。だが木材不況の中で見込みほど収益は上がらず、森林組合がスギニカに供給した原木代金は多くが未回収のままと なっている。
　■赤字穴埋め？ 　それだけではない。森林組合の内部調査では、実体のない両者の売買契約書の存在などが明るみに出た。
　スギニカへの人件費名目での貸し付け。役員による個人的な引き出し。真相解明はこれからだが、森林組合の資金の一部がスギニカの赤字補てんに使われた可能性が浮上している。
　問題発覚後の９月末までに阿部勝行・前組合長は退任。後任の備前雄一組合長は「組合の売掛金とスギニカの買掛金とは食い違いがあり、不正流用の疑いがある」と旧執行部の責任に言及する。
　これに対し阿部前組合長は「一部に不適切な会計処理もあったが、架空請求などはしていない」と真っ向から反論している。
　■売上金が急減 　一方で、スギニカはさらに苦境に立たされている。
　問題が発覚した０７年１１月以降は、森林組合からの原木供給がストップ。本荘由利など隣接する森林組合から原木を仕入れ月末に現金決済しているが、売り上げは大きく落ち込んだ。借入金残高は同市森林組合への 買掛金を合わせて６億５０００万円に上る。
　製材所を経営する田畑昭男理事長は「我々は森林組合に誘われて事業を立ち上げた立場。話し合いをしながら存続の方向を模索したい」と苦渋の色を浮かべる。運転資金も含めて新規借入先が見当たらず、メーンバ ンクに頼み込んで支援を受けている状況だという。
　■県への疑問も 　共通の役員が運営の実権を握っていた森林組合とスギニカ。十分なチェック機能が働かず、多額の補助金を支出した県などの姿勢を厳しく問う声も上がる。
　森林組合は県の必要措置命令（５月２２日付）と組合常例検査（６月２４～２６日）を受け、阿部前組合長のときに経営改善計画を策定。だが備前組合長は今回の説明会で実効性に疑問を投げかけ、再検討する意向を示し た。
　なれ合い体質の中でたまった積年の「うみ」。真の再建のため、まずは事実関係を明らかにする必要がある。
　旧経営陣相手に訴訟も辞さない構えの備前組合長は「このままでは何ひとつ解明できない。再建するには、組合員の皆さんの理解と応援が必要」と強調した

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