ID : 8902
公開日 : 2008年 9月29日
タイトル
造膜型、濃色型の普及が市場を伸ばす(
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新聞名
ペイント&コーティング
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元URL.
http://www.coatingmedia.com/interview/archives/2008/09/post_71.html
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元urltop:
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写真:
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本来、木の特性を考えるならば破風など紫外線や風雨にさらされる部位に木を使うのは好ましくない。更に最近では木目を生かした生地仕上げが好まれ、淡彩色仕上げやクリヤー仕上げが施されている。これら
はメンテナンスしなければ持たないし、かえってトラブルを生む原因になる。基本的に屋外での木部塗装は着色仕上げが望ましい。
とは言え、木に対するデザインニーズは高い。屋外に木部を使うならばメンテナンスをするという覚悟が必要。塗料からの観点に立てば、白木ニーズに対応することを考えていては、需要は伸びないのではないかと思
う。こまめにメンテナンスができないのであれば造膜タイプで塗りつぶすことも有効な方法である。木材は光に弱い。光を防ぐことが耐久性につながる。欧州では塗りつぶしが主流であり、ステイン仕上げはニッチ。木目
を生かした仕上げ自体、日本独特の感性である。
近年の屋外木部塗装の歴史をたどると、50年代から60年代の高度成長期には外装に木は使われていなかった。モルタルが全盛であり、むしろ木は屋外での建築材料として排除された過去がある。木を建築デザインと
して取り入れ始めたのは80年代後半のバブル期に入った頃。高級感が得られるとして自然素材に対する人気が高まったことが背景にある。また地場の木材を活用しようという動きもあって、公共物件でも屋外に木材を
あしらった大規模建築物が次々と生まれた。当時仕上げには造膜タイプのクリヤー塗料が塗られたが、1年持たなかったということが起こった。その反省から、浸透タイプの木材保護塗料の普及が進むこととなった。しか
し、バブル崩壊後も公共工事が増加し、木材保護塗料の需要は順調に推移したため、バブル期もバブル崩壊後もメンテナンスについての意識は乏しかった。民需・官需とも減少した今、過去に建設した木造建造物の劣化
がひどい物件が顕著となり、ようやくメンテナンスの重要性が認識され始めている状況にある。
浸透タイプ、造膜タイプの使い分けは人間の肌をメンテナンスするのと同じ。浸透タイプでこまめに塗装するのが肌クリームならば、造膜型は長袖に例えられる。メンテナンスに対する考え方によって使い分けをすると
いい。また部位ごとの使い分けも必要。デッキ表面など摩擦の多い部位にはメンテナンスがしやすい浸透タイプが適する。逆にフェンスなどの立面は造膜タイプで塗装すると長持ちする。
屋外に木部を使うケースはこれからも増える傾向にある。ハウスメーカーもメンテナンスの重要性を認識しており、契約の際にメンテナンスが必要であるとの記載を契約書に盛り込む例が出てきた。耐久性ニーズに対し
て、浸透タイプで10年持たせるのは無理。できるだけ長く持たせるなら造膜タイプが優れており、濃色の浸透タイプあるいは造膜タイプがもっと普及することがエクステリア市場全体を伸ばすことにつながると考えてい
る。
その一方で、メンテナンスに重きを置くならばかえって塗膜を持たない浸透タイプが適している。しかし現状では製品によって、初期の耐候性は良いが再塗装すると色が変になったり、はがれやすくなったりと性能が落
ちるものがある。今後は浸透タイプについても初期性能だけでなく、メンテナンスを視野に入れた長期的なスパンでの製品開発が必要だと感じる。
最後に日本建築学会JASS18M-
307規格については、木材保護塗料がようやく定義づけされた。しかし、防腐や防虫、防カビなどの薬剤の含有量や木材を保護する性能面の規定がないなど曖昧な点が残されている。製品の安全性も含めて、共通した
性能評価方法の導入が必要だ。表面的に安全だとか性能が良いというだけでなく科学的な裏付けのある公的な評価方法により性能を明らかにすることが今後市場に求められるであろう。(
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