ID : 8857
公開日 : 2008年 9月20日
タイトル
世界最古企業のサバイバル
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新聞名
MSN産経
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元URL.
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080921/trd0809210257003-n1.htm
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写真:
写真が掲載されていました
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日本には100年以上続いている企業が5万社もあるという。世界に類のない長寿企業国である。時代の波にもまれ、数々の危機を乗り越えて生き残ってきた企業がこれほど多いのはなぜなのか。米国ではサブ
プライム問題に端を発した金融危機で巨大企業が相次いで窮地に追い込まれ、日本経済にも悲観的な見通しが流れる。その現実を直視するためにも、日本が誇る長寿企業のサバイバルの秘密をさぐっていきたい。
大阪市のJR天王寺駅を降りて谷町筋をまっすぐ北へ歩くこと15分、右手に大きな石造りの鳥居が見えてくる。聖徳太子が物部守屋討伐に際して建立を発願したとされる四天王寺だ。
その鳥居のほど近く、お寺の西方を守るような位置に建設会社「金剛組」がある。聖徳太子は敏達天皇6(577)年、四天王寺建立のため百済から3人の宮大工を招いた。その一人、金剛重光を始祖とし、1430年の歴
史を誇る世界最古の老舗企業である。
金剛組は四天王寺のお抱え大工として、戦乱で数度にわたって焼失した建物の復興を手がけることで技術を守り、進歩させてきた。
「まじめに一生懸命にええもんをつくって、それが世間さまに認められてきたこと。1400年の信頼ですわ」
39代目金剛家当主で、現在は金剛組相談役の金剛利隆さん(84)はこう語る。長い歴史に裏打ちされた技術と信頼。それが長寿の秘訣(ひけつ)だという。技術は、親から子へと受け継がれてきた。
シュッ、シュッ。規則正しい鉋(かんな)がけの音が響く。堺市にある金剛組の美原加工センターでは、宮大工たちが一心不乱に木材に向かっていた。
専属で働く約100人の宮大工は金剛組の社員ではない。傘下の8つの「組」の親方のもとで働く職人たちだ。金剛組が神社・仏閣の新築や補修を請け負い、それを各組に発注して材料や作業場を提供する。
「それぞれの組が職人としての責任と誇りをかけ、技術を競い合ってええ仕事をする。金剛組の宮大工として技術に対する妥協はしません。それが強みです」と親方の一人、加藤組の加藤博文さん(65)は胸を張る。材
木が持つ癖を見抜いてくぎや金物をほとんど使わずに木と木を組み上げ、繊細な彫刻も施す。技術を体に染みこませなければ、宮大工の世界で一人前とは認められない。20年はかかるという。
「そりゃ、ときには怒られることもある。厳しい世界であることに変わりはありません。昔ほどやないですけど、親方と弟子の関係は絶対です」
加藤さんも親方だった父親から学び、いまは弟子である息子に宮大工として必要な技術と誇りを伝える。親と子、親方と弟子。上司と部下の関係にも息苦しさを感じることが多い現代でなお、金剛組の技術は「家族主義
」が支えている。
金剛組と8つの組との間に資本関係はない。「契約書」なども存在せず、正式な雇用関係はないという。「(相談役の)利隆さんとは親方と弟子との関係やと思てます。いまでも顔を合わせると、最近はどうやなんて声を
かけ、大事にしてくれはる。親子みたいなもんですわ」と加藤さんは話す。
顧客の信用、職人とのきずな。長寿企業は2つの信頼関係に支えられて1400年を生きてきた。
だが、平成のバブル崩壊は金剛組にも容赦なく襲いかかった。「経営が危ないらしい」という情報が業界に流れたのは平成17年の秋のことだ。最古の企業はまさしく存亡のふちに立たされていた。(
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