ID　：　8302

公開日　：　2008年 7月17日

タイトル

森と人とのシンフォニー ／宮崎

新聞名

毎日新聞

元URL.

http://mainichi.jp/area/miyazaki/news/20080717ddlk45070531000c.html

元urltop:

写真:

　

森と人とのシンフォニー　／宮崎 　北郷町の猪八重渓谷を最初に訪れたのは３年前。台風による落石や倒木がゴロゴロしていたが、往復５・６キロの遊歩道は適度のアップダウンと、森や滝のマイナスイオンに満たされ、原生林の中を歩く野趣があった。
　が、当時から違和感があったのは、遊歩道のそばに用水路とおぼしき跡があり、奥に入ると炭焼き窯跡が散在していること。人工物の臭いに内心がっかりもした。
　その屈折した思いは、町が始めた森林ガイド養成講座で、ガイドに応募した地元の古老の話を聞いて氷解した。
　「ここには１９６１年まで製材所の水力発電所がありました。子供のころ、用水路でよく水遊びをした。すると水流がさえぎられて発電量が落ちる。下流の製材所から人が飛んできて『コラッ！』と怒られたものです」 　そう、渓谷は生活の舞台でもあった。人は水源の森に支えられて生き、それゆえ森を大切に育ててきたのだ。自然の力に畏怖（いふ）さえあった森が、身近に感じられた瞬間だった。
　今、猪八重渓谷は癒やしの森として再生されつつある。ストレス解消に利用するだけでなく、森を大切に守り育てること。渓谷は、森と人との共生も教えてくれる。【

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