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ID : 738
公開日 : 2006年 4月 9日
タイトル
前代未聞!砂を詰めた板倉 川崎町(一関)の旧家で発見
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新聞名
東海新報
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元URL.
http://www.tohkaishimpo.com/scripts/index_main.cgi?mode=kiji_zoom&cd=nws1371
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元urltop:
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写真:
 
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気仙大工による独自性を追求した建築物は、全国各地に残されているが、木造倉の外壁と内壁の間に砂を詰め込んだ前代未聞の「板砂倉」が一関市川崎町薄衣の旧家で発見された。明治三十八年(一九〇五) に陸前高田市米崎町の名工・大和田琴治が建てたものと判明。耐震、盗難、鼠よけなど、砂の効用を生かした着想とアイデアに富んだ気仙職人の心意気が随所にあふれ、百年余の風雪にもズッシリと耐えている。
 四方の板壁の間に川砂をビッシリ詰め込んだ板倉があるのは、川崎町薄衣字外浦の岩渕継一さん(71)方。
 邸内に白壁土蔵と並ぶこの板倉は、幅約四・六メートル、奥行き約九・二メートル、高さ約四・五メートルの中二階造りで、材料はほとんど杉材を使用している。
 柱は二十一センチ角と十八センチ角をほぼ三十センチ間隔で建てた。外張りは厚さ三・六センチの羽目板で囲い、内張りの横板は一・八センチの厚さ。柱の多用もさることながら、板壁と柱の隙間に川砂を詰め込んで いるのが最大の特徴。
 気仙大工研究所の平山憲治氏(大船渡町)は「いまだかつて砂を活用した建物など見たことも聞いたこともない」と驚きの色を隠せない。
 この板倉が建った年代と大工棟梁は、その棟札から『明治三十八年旧三月吉日 気仙郡米崎村大字濱田 大和田琴治』とわかった。
 倉は古代の校倉から土蔵、石倉など、使用目的や用材によって種類が異なるが、板倉は火災に弱いことが難点とされる。
 平山氏は「火災と耐久性、倉破り(ネズミ、盗賊)の対策として、棟梁が独自の発想で板倉に砂を使ったのではないか」と注目する。
 岩渕さん方は、昭和三十九年に母屋が焼けているが、板倉は母屋と離れており類焼は免れた。砂の耐震効果は、百年の風雪を耐えてきた事実がある。
 最大の効果はネズミの被害防止。「もし、羽目板をかじり、穴を開けようものなら圧力の加わった砂が飛び出してくる。頭の黒いネズミ(盗賊)もいる。もし賊が鋭利なノコギリで柱の根元を切ったら、鋸歯がボロボロにな ってしまう」(平山氏)と思いをめぐらす。
 岩渕さんは「棟札を見て、気仙大工の仕事だと分かった。砂を詰め込むことを思いついた発想がすばらしいですね」と感服する。
 平山氏は「立派な建物の条件は、材料と細工とアイデアの三つ。明治後半の製材機械や運搬車のない時代に、これほど美しく、アイデアに富んだ板倉は二つとない」と絶賛している。
 【大和田琴治】米崎町高畑の木戸脇家(現・大和田農園)の人。兄の駒吉とともに米崎村を代表する大工棟梁で、木戸脇家からは多くの優れた弟子や職人集団が育ったといわれている。
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