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ID : 6676
公開日 : 2008年 3月10日
タイトル
日本の山林/国民の力で守り育てる
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新聞名
日本農業新聞
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元URL.
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/news1/article.php?storyid=482
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元urltop:
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写真:
 
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冬枯れのこの時期は、山林の様子がよく分かる。特に人工林の状態を見ておきたい。地球的規模で、森林の重要性が、指摘されているにもかかわらず、植林したものの、管理の手が入っていない山林は荒れ放 題で、雪や強風で折れたままの樹木も目につく。木材として商品になるまで40年以上かかる山林は、林家だけで維持できるものではない。長期展望に基づいた国の方針と、国民的レベルでの取り組みが必要である。
 最近農山村で、林業公社や造林業者などから契約更新の申し入れがあり、40、50年前に行った分収造林のことを思い出す農家や林家が少なくない。分収造林は1950年代後半から始まった。各県の林業公社が造林し 、木材を販売した収益を、土地所有者と分配する。契約が満期になったものの、国産材の価格下落で販売できないこともある。樹種によっては商品にならず、木材市況の回復を待ったり、植え直したりする。
 アカマツやカラマツ林は、杉やヒノキに植え替える。土地所有者にとっては40~50年間、ただで土地を貸したも同然で、国の見通しの甘さが問われる。契約の更新は、さらに50~60年の延長を求めている。その時 、木材価格がどうなっているか、誰にも分からない。このため、木材需要が旺盛なころはともかく、孫の代に入るかどうか分からない収入を当てにして、今投資する林家は少ない。
 林野庁は最近、市民や一般企業を対象にした「国民の森林(もり)」作りに力を入れている。ボランティアで植林する市民団体も生まれている。水源涵養(かんよう)や治水のため、森林管理事業に取り組んでいる地方自 治体も少なくない。いずれも木材の販売を優先するのではなく、森林に国土・環境保全、あるいは趣味・健康面などで意義を見いだしたものだ。こうした組織・団体は林家と異なり、参加者個々の事情による影響が少なく、 世代が交代しても持続できるという強みがある。数は少ないが、林業で働きたいという人を受け入れている森林組合もある。
 誰が将来の日本の山林を守るのか。これまで実施された林業公社による分収造林面積は42万ヘクタールで、民有林全体の3・4%にすぎない。日本の山林を、山村の高齢化した零細な林家だけで守ることは、無理で ある。山林を国民に“開放”して、国民の力で育て、守るしかない。二酸化炭素排出量削減で森林の機能が注目され、山林に対する国民の関心が高まっている。
 木材価格の下落で、各県の林業公社の多くは、赤字が累積し、事業を、県行政に移すなど組織の改廃を、余儀なくされている。近視眼的に行政改革の一環、また林家の経営問題としてのみとらえるのではなく、50年、1 00年先の国土と国民のあり方を、考える中で、山林の問題に取り組むべきである。
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