ID : 5648
公開日 : 2007年 12月 5日
タイトル
天然木素材に無限の可能性
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新聞名
フジサンケイ
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元URL.
http://www.business-i.jp/news/for-page/chizai/200712050002o.nwc
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元urltop:
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写真:
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■天然木素材に無限の可能性
天然木素材の開発と販売、天然木素材を使った雑貨やバッグの製造、販売を行うゼロワンプロダクツ(大阪市)は役職員5人、年商1億円に満たない小さな企業だ。技術も知財も、何の専門知識もなく、樋口伸一社長に
あったのは、“木のバッグを作りたい”という思いだけ。その思いが産学連携によってもたらされた、1つの特許でかなえられ、そこから新たな道が開けてきた。
≪あったのは思いだけ≫
--なぜ天然木素材を開発したのか
「92年に脱サラし個人事業として始めた化粧雑貨・用具の開発プロデュース業が伸び悩む中、98年に法人化したのを契機に新分野としてバッグのデザイン事業を模索した。もともとバッグ集めが趣味で、新しいブラ
ンドができないかと考えていて浮かんだのが、木の素材を使ったバッグだった。すぐにつき板(非常に薄いベニヤ板)を買ってきて、バッグ縫製業者に試作を依頼した。だが、すぐ割れてうまくいかない。これは素材開発
から始めないと無理だと分かった」
--あきらめなかったのか
「当時は産学連携が活発化し始めたころで、地元の異業種交流会のつてで阪南大学の大槻真一教授(現学長)に相談すると、樹脂をつき板に浸透させれば可能と分かった。99年秋、龍谷大学を紹介してもらい、公的な
ベンチャー支援資金500万円もつき、翌春から龍谷エクステンションセンター(REC)で共同研究を始めた。普通、大学との共同研究なら、技術の知識があるのだろうが、私にあったのはただ作りたい木のバッグのイメー
ジと意欲だけ。ズブの素人だった」
--とんとん拍子だが
「そうでもない。天然の薄い木の板に高分子化合物を充填(じゅうてん)した、折り曲げても割れにくい、“天然木自在シート”ができるまで2年半もかかった。指定されたカリキュラム通り、時々しかられながら、地道な実験
を続けた成果だ。この間、月1回、大槻教授が難しい専門技術をかんでくだいてレクチャーしてくださった」
--御社に初の独自技術が誕生した
「当時は知財の知識もゼロ。大学の勧めで特許出願。早期審査の手続きを教えられ、2004年春に特許を得た。驚いたし、うれしかった。PCT国際出願という手法で海外での権利確保にも動き、翌年夏には米国特許もと
れた。大学から今度は、企業としてどう知財を活用するかを考えなさいといわれ、公的機関の知財セミナーや知財相談を何度も受けた。この間、国の特許流通アドバイザーの支援で九州の企業に生産のライセンス契約
をすることができた」
≪素材メーカーへの道も≫
--事業に活用できたのか
「天然木自在シートは“テナージュ”と名付け、まず念願のバッグブランド“イギィ”を立ち上げた。デザイン会社と組んでブックカバーや名刺入れなどのステーショナリーグッズも開発。家電製造会社では照明器具の傘に
採用され、用途は少しずつ拡大していった。また西陣織とテナージュを組み合わせた新素材“天然木京織物”を開発。高級バッグ用生地として提供を開始した」
--今後の課題は
「スペックの拡大、機能向上や新素材の開発だ。例えば、照明器具用にテナージュの硬度アップの研究をしている。また繊維への活用では有名大学からの共同研究の話も来ている。日米以外での特許取得も重要。欧州
や中国が候補だ。今後はこの間に得た知財を活用して、素材メーカーに徹する選択肢もある」
--知財は難しいものか
「最近、他の中小企業が聞きに来るが、最初は思い以外何もなく、導いてくれる方々に従ってきただけで独自の素材、特許を得られた。今でも専門の知財人材も知財部門もなくやっている」
天然木京織物は現在、世界的大企業が製品への採用を検討しており、ゼロワンプロダクツには知財がまさに大飛躍への好機をもたらしている。(
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