ID : 5429
公開日 : 2007年 11月19日
タイトル
滋賀の造林公社が特定調停借金棒引き
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新聞名
日経ネット関西版
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元URL.
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news001120.html
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元urltop:
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写真:
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映画「ALWAYS 続・3丁目の夕日」が人気を集めている。昭和34年(1959年)、高度成長期に足を踏み出した日本。暮らしは質素でも一生懸命に生き、将来への希望に満ちている――そんな人々の表情や言
葉が心に響く。
日本初の林業公社が長崎・対馬で生まれたのは、その昭和34年である。公社が農林漁業金融公庫や関係自治体から金を借り、木を植える。伐採、加工した木材を売り、土地所有者と収入を分け合う。当時は旺盛な建設
需要に支えられて木材価格が高騰していた。事業の未来はバラ色に見えたはずだ。
全国の多くの地域が対馬林業公社に追随。林業公社や森林公社、造林公社と、名こそ違えど役割は同じような組織が次々とできた。そのころは、林業関係者の表情も「3丁目」の登場人物と同様、希望に満ちていたに違
いない。
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その希望も高度成長が終わり、木材需要が落ち込むとともにあっさり消えた。安い輸入材の流入などを背景に、国産材の価格は一気に下落。設備投資や人件費などの負担が重い林業では利益が出ない。
「林業をいつやめるか、常に考えています」。10年ほど前、三重県南部にある林業会社の経営者がこんな話をしてくれた。頑張っても赤字続きで、伐採などの担い手も減るばかり。とても次の世代に託せない。民間では
多くの林業関係者が早くから厳しい状況を直視し、廃業を考えてきた。
一方、役人の世界では事情が異なる。問題の先送りに慣れているからだ。代々の担当者が「いつやめるか」と考えることもなく、事態を放置してきた結果は借金の巨大な山。今、全国の林業公社や造林公社の借金総額
は1兆円を超える。
その10分の1、約1000億円の借金を抱える滋賀県の2つの造林公社が特定調停を申請した。債権者である農林漁業金融公庫や自治体と、借金の大半を棒引きしてもらうための話し合いをしたいというわけだ。
両公社が問題の先送りをやめたことを評価する声がある。「ここで改革に取り組まなければ、孫や子にツケを残す」という滋賀県の嘉田由紀子知事の言葉に賛同する向きもある。だが冷静に考えれば、ほめる要素は何
もない。
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そもそもこれほど巨額の借金をしておいて棒引きしろというのだから、勝手な振る舞いというしかない。両公社を廃止するつもりはないと聞くと「借金は返せないと居直ることだけで、改革といえるのか」という疑問もわく
。
何より問題なのは、事態をここまで悪化させた経営責任をだれがどのように取るのか、見えない点だ。現在の担当者は「過去の責任を問われても」と逃げるだろうし、過去にさかのぼって歴代の首長や担当者をとがめ
るのは難しい。木材の輸入拡大などを巡って国の政策の不手際を指摘する声もあるが、永田町や霞が関が認めるはずはない。
結局、責任を取る者はなく、だれかが泣き寝入りせざるを得ないだろう。滋賀県や大阪府、大阪市といった自治体の債権はもともと税金。焦げ付けば、泣くのは住民ということになる。
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