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ID : 4953
公開日 : 2007年 10月11日
タイトル
天然林の破壊現場を歩く(1)風倒木処理の名目で材 木売る?林野庁
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新聞名
JanJan
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元URL.
http://www.news.janjan.jp/area/0710/0710103708/1.php
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元urltop:
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写真:
 
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 北海道では天然林の伐採比率が高く、過去の度重なる伐採でボロボロになった森林に追い討ちをかけるように、いまだに天然林での択伐(抜き伐り)や皆伐が延々と続けられている。しかも、それらの森林は 公益的機能を重視する保安林に指定されているのだ。  京都大学名誉教授で国際自然保護連合の委員を務める河野昭一氏、北海道で天然林の伐採問題に取り組んでいる市川守弘弁護士(日本環境法律家連盟・理事)、寺島一男氏(北海道自然保護連合・代表)、市川利美氏 (ナキウサギふぁんくらぶ・代表)、そして筆者(十勝自然保護協会・副会長)などが、10月2日から3日間、北海道十勝地方の国有林の伐採現場を視察し、5日には札幌の北海道森林管理局に申入れを行った。  伐採現場で目の当たりにしたのは、風倒木処理とは名ばかりの木材生産、土場に積まれた大量の丸太、盗伐が疑われる伐根、広大な土場、そして地表をえぐり、破壊する無惨な皆伐現場だった。そのあまりの凄まじい 光景に、一行は言葉を失った。以下に、現場から見た林野庁による自然破壊を報告する。
風倒木処理を行った現場。収穫調査の印がない伐根が多数あった。
 初日に視察したのは、阿寒国立公園の近くの針葉樹(エゾマツ・トドマツ)が優占する森林。視察メンバーは事前に収穫簿や実行簿を調べ、広大な伐採対象区域から問題のありそうな箇所を選んで、管轄の十勝東部森林 管理署長に同行を求めた。  初めに訪れたのは、今年の冬に風倒木処理が行われた場所。ここでは平成17年に一部の立木がすでに業者に公売されていた。しかし、買い受けた業者はすぐに伐採をするわけではない。業者が伐採を行う前の平成1 8年10月に、低気圧によって風倒木が発生したのだ。そこで、すでに販売されていた立木に追加する形で、同じ業者に風倒木を販売したのである。  林野庁が木を販売する際には、販売する木の胸高直径を測り、収穫調査を行う。こうして樹種ごとに収穫量を調査するのだ。このために、すでに販売された立木には、伐根の根際にナンバーテープと刻印がつけられて いる。また、風倒木として追加販売した木は、収穫調査の際に、根際に青い特殊スプレーをつけることで、立木販売の木と区別できるようにしているという。ただし、風倒木が折り重なって散乱し収穫調査ができない場合 には、スプレーをつけずに目測で調査することもあると、署長は言い訳めいた説明を付け加えた。  尾根近くにあるその風倒木処理現場は、倒伏をまぬがれた細い木がまばらに立ち、林床には細い倒木や伐根、搬出した木の枝などが散乱している。材として使えない部分は放置してあるのだ。これで「風倒木処理」と いえるのか? これについて森林管理署長に尋ねると、「運ぶ価値のないものは現場に残すこともある」と認めた。なんのことはない、要するに風倒木のうち、材として使えるものだけを運び出し、残りは放置するのが風 倒木処理なのだ。風倒木処理の目的は木材販売にほかならない。  さて、運びだされた木は収穫調査をしているはずなのだから、伐根や根株にはナンバーテープと刻印、あるいはスプレーがなければならない。ところが、ナンバーテープもスプレーもない木の方が圧倒的に多い。収穫 調査をしていない木、つまり販売していない木を伐っているのではなかろうか? それが事実なら、盗伐ではないか。それを問いただすと、署長の答えが詰まった。説明不能に陥ったようである。  業者が伐採を行ったあとは、契約どおり伐採が行われているかどうかを確認するために森林管理署が跡地検査を行うのだが、何の印もない伐根の扱いはいったいどうするのだろうか? 土場では、丸太を買い受けた業者がダンプに積んでいた。
 次に視察した現場は、ちょうど業者がダンプに丸太を積み込む作業の真っ最中だった。土場にはトドマツやエゾマツなどの針葉樹のほかに、直径が50cm前後のシナノキの大径木が積み上げられている。土場に積み 上げられた丸太を見ると、どれだけの量の木が伐りだされたのかが一目瞭然であるが、そのおびただしい丸太の山に圧倒される。ここでは製品販売といって、土場に運びだされた丸太が競売されたのである。  木を販売する場合は、立木販売と製品販売(素材販売)という二つの方法がある。前者は立ち木の状態で業者に販売するので、買い受けた業者が伐採から搬出まで行う。これに対し、製品販売というのは伐採して土場 に運ぶ作業、土場の丸太を樹種や材質別に分ける検査、積み上げられた丸太の販売を分けて契約するのである。ここの森林管理署では、製品販売の場合には収穫調査の際に特殊スプレーで印をつけるという。販売さ れた木の伐根には、スプレーが残っていなければならないことになる。  それらが伐り出された森林に入ってみると、シナノキの大径木はほとんど見当たらない。最後に残された大径木を、伐ってしまったのか。林内には縦横にブルドーザーの作業道がつけられ、表土がかき回されている。そ して、なければならないはずのスプレーが見当たらない伐根が多数ある。果たして伐採現場では、印のついた木だけを伐っているのだろうか?  十勝東部森林管理署といえば、かつて「やまりん」による盗伐が発覚したところだ。今回の視察では、盗伐が疑われる無印の伐根を多数確認した。いまだに盗伐が行われているのであれば由々しきことだ。業者と森林 管理署の癒着の噂は昔から囁かれている。私たちは最後に残された大径木まで、赤字解消のために食いつぶす林野庁の蛮行を目の当たりにし、一日目の視察現場をあとにした。
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