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ID : 4030
公開日 : 2007年 6月 7日
タイトル
失われゆくタスマニアの原生林 分かれる日本企業の対応
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新聞名
JanJan
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元URL.
http://www.janjan.jp/world/0706/0706050713/1.php
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元urltop:
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写真:
 
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オーストラリアの南に位置するタスマニア島。このタスマニア島を覆う森林は、地球の宝とも呼ばれ、様々な固有の野生動物が生息している。樹高70メートルを越す巨木や、樹齢400年を越える天然のユーカリ などが生息する温帯雨林の原生林を含む太古の森である。このタスマニア島は、面積が678万haと北海道よりも一回り小さな島なのだが、一面の木々を全て伐採する「皆伐」によって、年間平均1万5000ha(1日でサッ カーグラウンド約40個分)の森林が失われている。
 伐採された木々の木材はチップとなり、その多くが日本へと輸出され、紙原料となっている。この惨状をタスマニアの森の輸入国となっている日本の市民や業界関係者などに知らせようと、6月4日、アメリカに本部を置 く環境NGO「レインフォレスト・アクション・ネットワーク」らによって、「誰がタスマニアの森を切っているの?買っているの?~現場からの現状報告」と題した講演会が、東京の青山学院大学にて開催された。
皆伐された太古の森今回、現地からは、ペグ・パットさん(タスマニア州議会議員)、ピーター・マクィランさん(タスマニア大学講師)、ジェフ・ローさん(豪州ウィルダネス・ソサイエティ)など4名が来日した。
 冒頭、報告にたったパット州議は、22年間にわたってタスマニアの森を守るトラスト運動などに取組み、1993年にタスマニア緑の党からタスマニア州議会議員に出馬して当選。以後、議員として保護活動に取組んで きた。「タスマニアの森を守るためには、日本の市民の理解が必要」と訴え、伐採業者のPRの4つの嘘を紹介した。
 伐採業者であるガンズ社は、1)同社のチップが、FSCには程遠いAFSという独自にシステムに適合しているだけなのに、あたかもFSC認証に適合しているかのような印象をあたえている、2)一部の原生林を「再生 林」であるとして、伐採している、3)絶滅危惧種には影響を与えていないという誤った主張をしている、4)原生林の「皆伐」を中止・中止予定というポーズをみせるだけだと、同社の対応を批判した。
タスマニアでの抗議運動その後、ジェフ・ローさん、ピーター・マクィランさんは、破壊されるタスマニアの森と絶滅に瀕する生物の実態を、写真を交えて紹介した。保護価値の高い森林や原生林、絶滅危惧種の生息地 を含めた天然林が、ダイナマイトや火炎弾を使用して焼き払ったりされているそうだ。
 また、私有林になると、2005年末に州有林では使用停止となった猛毒「1080」を混入させた毒餌を使って野生動物の無差別「駆除」が現在でも行われており、標的以外の保護対象動物たちへの影響も指摘されてい るという。これらの森林伐採の影響で、少なくとも10万匹の標的種が1年間で犠牲となっているとの推定すら、過小評価だという見方もある。
 今回の報告の中で、三菱製紙が、原生林破壊を理由にガンズ社からのチップ購入を取りやめるという決定を下したことが評価されていた。一昔前に、日本企業による東南アジアの森林破壊が大きな問題だったことを考 えると、日本の企業もこの10年で環境意識やCSRが進んだということなのだろう。もっとも、そうしたタスマニアの実態を知ってか知らずか、ガンズ社のチップを購入し続けている日本の製紙メーカーもある。
 報告会を主催したレインフォレスト・アクション・ネットワークの上級キャンペーナー、ビル・バークレイさんは、タスマニアの森を守るには、チップを購入する日本の企業の協力が必要だと語った。
 われわれ日本に暮らす市民が紙を購入する際には、紙の原料の産地を知ることはできないし、ノートなどの紙製品もそれがどこの製紙メーカーの紙をつかったものかを判別することも難しい。そういった意味では、製 紙メーカーの良心に期待せざるを得ない部分が多く、タスマニアからはるばるやってきた現地の人びとの声が、日本の企業に届くことを切に願いたい。
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