ID　：　343

公開日　：　2006年 2月21日

タイトル

レイテ島地滑り／森林の保護が問われている

新聞名

世界日報

元URL.

http://www.worldtimes.co.jp/syasetu/sh060221.htm

元urltop:

写真:

　

　フィリピン中部のレイテ島で大規模な地滑りが起きた。同国軍を中心に捜索・救出活動が続けられているが、七十二人の死亡が確認され、行方不明者は千四百人以上に上り、絶望視されている。
背景に無計画な伐採 　フィリピンではこの三十数年の間に森林伐採が進み、森林の半分以上が消滅し、土砂災害があちこちで発生するようになった。
　レイテ島一帯でも森林が乱伐され、ココヤシ畑に変えられて、保水力を弱め、これまでも洪水や地滑りに襲われてきた。不意に襲った自然災害だが、その背景には無計画な森林伐採という、深刻な環境問題が存在して いる。
　被災地のギンサウゴン村は人口千八百五十七人で、村の後ろにカン・アバグ山がそびえている。
　二週間降り続いた雨は五〇〇ミリに上り、二月の平均降水量の一〇〇ミリ理を大きく上回った。この大雨で山肌が緩み、小規模な地震に誘発されて地滑りが発生、一気に土砂が崩れ落ちた。その重い土砂は三百二十一 世帯の家も、村の小学校ものみ込んでしまった。
　国軍と市民ボランティアが救助に駆け付けてみると、村一帯が数メートルの土砂に覆われていて、ぬかるみで重機は使えず、スコップなどによる人の手に頼るしかない状況だったという。校舎の中にいた児童二百四十 六人と教諭五人も、五－六メートルもの土砂の下で、救出には悲観的な見方が強い。
　米政府は、フィリピン政府の要請で、同軍との合同演習に参加していた米軍艦船二隻を派遣。沖縄駐留米海兵隊など最大で三千人を増派することになった。また、台湾やデンマークのチームも参加。中国は百万ドルの 被災者救援金を拠出表明した。
　しかし、救助活動は雨が断続的に降って難航し、発生の翌日以降、生存者は救出されていない。
　熱帯雨林は植物を豊かに成長させる力を持っているが、土壌の層が薄く、伐採されると森林の再生は困難となり、生態系を破壊して、土壌も河川の流水量も不安定にさせる。その結果、洪水や土砂崩れが起きることに なるのだ。
　伐採による森林の破壊は、東南アジアはじめ世界各地で深刻な問題となっている。フィリピンではラワンやナラなどを日本に輸出するため、一九六〇年代から七〇年代に乱伐が進んだ。インドネシア、ラオス、タイ、 カンボジア、ミャンマーでも乱伐が進んでいる。
　しかも熱帯雨林での伐採の半分は、違法な森林活動と推定されており、その木材貿易は世界の木材貿易全体の十分の一以上で、年額百五十億ドルとの推計もある。インドネシアでは供給全体の七割が不法伐採といわ れている。
　中国では一九九八年に長江で大洪水が発生したが、これは上流の自然林の伐採が原因とされて、伐採禁止措置が取られ、不足分を輸入に頼るようになった。
　そのため年間二億八千万立方メートル近くの木材消費のうち、国内供給量は約半分。不足を輸入や不法伐採で補っている。５７％はロシア産だがその五分の一は不法伐採とされ、ミャンマーやフィリピンからも密輸して いるといわれている。
　不法伐採の取り締まりなど、対策が困難なのは、国際的な合意が見いだされていないためである。開発途上国では、地元村人は弱い立場にあり、密輸業者や官吏の不当な扱いに抵抗できないできた。
国際的なルールづくりを

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