ID : 321
公開日 : 2006年 2月17日
タイトル
伝統楽器:二胡の宿命「皮が意地悪、音が出ない」
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新聞名
中国情勢24
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元URL.
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0217&f=column_0217_003.shtml
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写真:
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木で作るのがバイオリン。当り前ですが
ええと、バイオリンの話です。いや、ウソを言ったわけじゃないんだってば。バイオリンと二胡をいろいろと比較していこうという趣向です。
で、そのバイオリンですが、材質は木ですね。「木の種類はどれにする」「切り出してから、どれだけ寝かせておくか」「ニスはどうする」なんて、いろいろなことがありますが、とりあえずは木を使うことに注目。かなり薄
い板ですな。バイオリンの上に座ると、確実に壊れます。その程度に薄い板。
●よい二胡、よい皮、よい太鼓
さあて、二胡をバラバラにしました。ということで、胴の部分を手に取ります。円筒形と言いたいところだけど、実際には六角形や八角形。正確にいえば、六角柱や八角柱に近いものになっている場合がほとんどです
。で、幾何学の用語を借りれば、一方の底面、要するに六角形や八角形の部分に皮が張ってある。ハイ、このあたりで上の方にあった写真を、もう一回見ておいてくださいね。
手ごろな大きさだね。なんとなく、さわってみたくなる。さわったついでに、指先でちょいと叩いてやる。ポコポンポンと音がでます。太鼓だ、こりゃ。ま、この時によい音が出なければ、そもそも二胡としてたいした楽器
ではありません。
少し整理してみましょう。ふたたび、バイオリンとの比較です。バイオリンの場合には、弦の振動が、ちょいと大きめの駒に伝わり、その次に木の板に伝わる。二胡の場合には、弦の振動が小さな駒に伝わり、その次に
太鼓の皮に伝わる。駒の大小ということもあるけれど、二胡とバイオリンの一番の違いは、楽器本体でまず振動する部分が「木の板か、皮か」ということですね。
●茶筒と焼き鳥と箸のご用意を
木と皮のどこが違うのか。木というのは、曲りなりにもカチリと決まった形がありますからな。振動の方向は自由ですね。上下左右前後、どちらにゆすぶることもできる。立体的。では、皮は? 皮の場合、そーは問屋が
卸さない。そのままでは、ぐにゃぐにゃですからね。振動なんかしてくれない。太鼓みたいに、ピンと張ってやらなきゃ、振動もヘチマもないことになります。
太鼓みたいに張っても、振動の方向は限られている。面に対して垂直に。このようにしか、動いてくれない。左右の振動はありえない。振動方向の一意性。これが皮の特徴です。
で、ここで実験をしてみましょう。ええと。用意するものは茶筒と串2本と箸1本。ええと、茶筒でなくて海苔の筒でもいいけど。とにかく円筒形のものね。これ、二胡の胴の見立てです。それを机の上に置く。その上に、
串。焼き鳥の串かなんかでいいから、2本を平行に置く。互いの距離は1センチメートルぐらいがわかりやすかな。
串は当然、茶筒の上面から飛び出す。上手に置いてくださいね。ちょうど串の真ん中あたりを茶筒の上においてやらないと、バランスくずれて落っこちるから。この串は、2本の弦の見立てです。
残るは箸。これ、弓の見立てです。で、これを手に取り、串をこする。弓で弦をこする、つまり二胡の演奏の見立てです。
●こすれどこすれど音は出ず、じっと手を見る
あっあっ。やってみて気づいたんだけど、本当にこすると、あっと言う間。串は茶筒から転げ落ちる。箸は串に近づけるだけで、本当にはこすらない方がいいみたい。ま、見立てなんで、そのあたりはよろしく。
で、この時、箸はどの方向に串をこするでしょうか。普通は、串に対して左右にこすることになります。その振動方向はというと、茶筒の表面と同じ方向になる。つまり、そのままじゃ、茶筒の表面と垂直の方向にこする
ことはできません。
茶筒の上面は、実際には二胡に張られた皮であるわけです。先ほどお話ししたように、皮は垂直方向にしか振動してくれない。つまり、いくら一生懸命に弓で弦をこすっても、方向性に問題がある。皮は振動しない。二
胡は音を出してくれない。さて、困った。どーする?
こないだお話ししたように、バイオリンの弦を弓でこすると、弓の振動が駒に伝わり、その振動が板に伝わる。この駒を立てる板を、表板とか面板なんて呼びますな。駒が面板の上に乗っかっている状態なのですが、
別に瞬間接着剤でくっつけているわけじゃあない。弦はかなりの力で張っていますからね。弦の力で駒を面板に押し付けているわけ。かなり強い力です。
で、駒と面板はピタリとくっついていますから、面板が揺れだす。で、楽器のいわゆる胴体と呼ばれている部分が振動して、甘~い、まろやかーな音を奏でる。ま、そういう理屈です。写真ならこちらをごらんくださいね
。前回の記事ですけど。
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