ID : 2892
公開日 : 2007年 2月27日
タイトル
森と地域育てる家造り 荒廃地再生に弾み 宮城・川崎
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新聞名
河北新報
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元URL.
http://jyoho.kahoku.co.jp/member/news/2007/02/20070227t13017.htm
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写真:
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宮城県川崎町で「地産地消・無農薬型」の家を建てる活動が、実を結びつつある。町面積の8割を占めながら、木材価格の低迷で荒廃した森林を適度に更新して保全するため、地元産の杉などの無垢(むく)材
を徹底的に活用した木造住宅を同じ水系の流域に建設している。地域内で持続可能なビジネスモデルを構築することで、次世代に健全な森林と水資源を継承、同時に消費者に快適で健康的な居住空間を提供するのが
コンセプトだ。
「川崎町の木で健康な家づくりグループ」の活動。100年後に食料とエネルギーを100%自給できる地域づくりを実践するNPO法人「川崎町の資源をいかす会」の1部門で、町内の林業家や製材業者、建設職人、設計
者らで構成する。2005年に第1号住宅が誕生してから計6棟を受注した。「市場経済に左右されず、地域で森をはぐくむ家造りの流れを根付かせたい」と、自然体で計画を進める考えだ。
玄関を上がると、すがすがしい木の香りが鼻を抜ける。ペアガラスの大きな窓で開放感のあるリビングは、床も壁も天井も、塗装しない無垢材。ピアノとまきストーブが配置され、樹齢80年はあろうかという杉柱が中央
を貫く。
川崎町本砂金に06年8月に完成した第2号住宅。「都会のマンション暮らしに息苦しさを感じていた」という施主の会社員早坂章子さん(56)は「帰宅するとホッとする、かけがえのない空間。体の毒が抜けていく気が
する」と癒やされた様子だ。
べた基礎で断熱した床下には大量の木炭を敷き詰め、床の開口部を通して室内の温湿度調整と空気清浄の効果を担う。木炭や、ほとんどの建築用材は町産。シックハウス症候群の原因とされる防蟻(ぼうぎ)剤は使わ
ず、有機溶剤などの室内空気汚染度も非常に低い。
グループのまとめ役の一級建築士原田有造さん(61)は「地元の木材と建築技術を使い、地元で建てることでリーズナブルで健康な家を提供し、森林の保全と職人の後継者育成を狙う」と戦略を説明する。完全受注の
ため設計の自由度は高く、総工費の約8割が地元に落ちるなど、それぞれの立場で大きな利点がある。
コスト面は一般住宅と互角だ。住宅金融公庫の04年度調査によると、公庫融資で新築した宮城県内の一戸建て住宅の坪単価は約55万円で、グループの実績は50万円台半ば。「輸送費を大幅にカットできる木材の産
直が効いている」と原田さん。
請負者と施主が請負額の約0.5%ずつを拠出し、「育林基金」にプールするのも大きな特色。間伐の労賃などに充てるなど、今後、林業再生をサポートしたい考えだ。
グループが請け負う地域は、川崎町と仙台、名取両市で名取川水系の釜房ダム流域に限られる。原田さんは「各水系でこうした取り組みが始まるのが望ましく、喜んで協力したい」と話している。
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