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⑤伐採方法と器具類



 立木の伐採は、山の傾斜に対しほぼ直角方向に倒し、伐倒木の梢端近くまで丁寧に枝を切り払った後、基部から順次皮を剥(は)いでいく(伐倒木がスギで、およそ50年生以上に達しており、樹皮が厚い場合、基部のほうの樹皮を長さ3尺3寸(約1m)に測って丁寧に剥ぎ取り、十分に自然乾燥した後、屋根葺(ぶ)き用等に保管する)。皮剥(む)きが終わると次の立木の伐採に移る。受持ち区域の伐採が全部終わるとそのまま放置し、30~40日間、自然乾燥する。
 伐採用の器具類は、大小の鋸(のこ)に斧(おの)と杣(そま)ヨキ(通称)、楔(くさび)と皮剥ぎ器・ロープと腰鉈(こしなた)等である(図①)。
 当時の人々の仕事ぶりは伐木一つを例に取っても、切り口が少しでも曲がっていれば真っ直ぐに切り直す、また、根張りの切落としや、ときん削りについても不ぞろいがあれば、杣ヨキや斧を使って再度削(そ)ぎ面をきれいにするなど、自分の伐木技術を誇りとして仕事に打ち込む人が多かった。



⑥造材と棚積み



 伐木して30~40日程度乾燥させた後、丸太に切る。長さを決めるサシには、根元側の太さが6~7cmぐらいで、真っ直ぐに5mほど伸びているスギの木を選び、曲がらないように注意しつつ十分乾燥した後、2m(約6.6尺・・・2間丸太)、3m(約10尺・・・丈丸太)それぞれの位置に印をいれ、サシ(検竿と呼んだ)として使った。
 使い方は、伐倒した木に添えて測り、根元のほうから4mの位置で、その直径が18cm以下の場合は3mの位置に戻って切断し、丈丸太、3m材とする。間丸太・2m材は根曲がりなどの場合に造材した。
なお、切った各丸太は、切株を利用して「浮かし棚積み」にし、さらに乾燥させた。



⑦伐木、造材費(賃金)の清算



 3人が一組になり、棚積みした丸太に刻印を打つ者、丈丸太、間丸太・2間丸太別に数量を記帳者に呼称で知らせる者、呼称を基に丈丸太・間丸太・2間丸太別に数量を記帳する者、に分かれて作業をする(この作業を「山の受渡し」と呼んでいた。また、念のために伐木・造材の仕事をしたものの記録と照合したうえで、丸太種別ごとの数量を決定した)。
数量が確定すると全部丈丸太に換算し、それに単価を掛けて経費を算出、清算した。



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