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タイトル

丸太材の管流

谷川・城川・日置川本流別の管流作業の概要

①谷川での鉄砲堰の活用

 ア.鉄砲堰の設置箇所および構造

 前述のとおり谷川の延長は4~5kmと短いので、降雨後の増水も早いが、引き水も早いため鉄砲堰の活用は2日間ぐらいが適切だったようである。したがって鉄砲堰の設置箇所も谷川の中流より下手の位置で、谷幅がやや狭まっていて、両岸が岩盤になっている場所を選んでいた。堰の構造は(図②-1)のとおり、太い長木を軸に丸太材と角材を組み合わせ、水門箇所には厚い板材を使っている。

 イ.作業員の配置

 鉄砲堰の操作に当たる者には、これに慣れた熟練者をあてその補佐に二人付ける。他の作業員は二組に分けて、堰の上流に堆積(たいせき)している丸太材を貯水範囲内に引き入れる組と、一方堰の下流にいて鉄砲水とともに放出された丸太材を、渋滞なく流れに乗るように誘導する組とに分ける。特に下流にいる組は放出時の一刻、水位が1m近く上がるので注意しながら作業を続ける必要があった。

 ウ.鉄砲堰の操作

 貯水を始める前に堰の要所を点検し、異常なしを認めた場合は、直ちに水門箇所を閉じて貯水を開始する。途中漏水が見つかれば苔(こけ)や山土を使ってこれを止め湛水を早める。
湛水が予定の水準に達するころ、堰の上流と堰の下流の各作業員に大声で放水することを告げる。
口伝えに全員に届いたころ、もう一度大声で放水実行を告げ、水門を一挙に開き放水するとともに、貯水範囲に浮かんでいる丸太材が、渋滞なく水門を潜れるようトビロを(図③-1)使って誘導する。
貯水の排出が終わると再び堰の要所を点検したのち貯水を開始する。流水量によるが一日中これを何回か繰返し、堰の上流および下流の丸太材の全部が、谷の口まで届くよう続けた。

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