あまり利用価値のある手法ではないが、テール架線を紹介しておく。
架線でも矢遠でもふつう副線を必要とするが、テール架線は副線を使わない。
材木を積んだ矢形が本線を通り、空矢形がテールにかかったまま交互に戻ってくるのである。
図のかぎりでは副線なしに運材できるので一見、簡便そうにみえるが、実際は難点が多すぎる。
たとえば、返り荷物を空矢形につけられない。
また、荷物のかかっている矢形は ふつうと変わりないが、戻りの空矢形に経りがかかり、それを戻すのが大変である。
そこで図のような「クルル」をつくり、矢形とテールのつなぎ目につけなければならない。
凰のない日は調子よく運材できるが、少し風がでると運材がテールを被るため休業する こともしばしばである。
テールを被ったときは矢遠の項で説明したように予備矢形を利用して取り除くが、これが命がけの仕事である。
いずれの架線も多少はテールを被るが、テール架線ほどひんはんではない。