川悪日
熊野川上流には天然の鮎や鰻、雑魚が生息 し、漁で生計をたてる人も少なくなかった。また、付近の子供らにとって絶好の遊び場であった。
そして夏となく冬となく毎日のように数十乗りの筏が流れて行く。
こののどかな川に「川悪日」という奇妙な 風習が伝わる。
旧暦の6月7日が悪日にあたり、この日に川に行けば危険なことが起こるという。
漁も筏もとにかく川に働く人びとはこの日ばかりほ一切休業、子供たちも親からいい聞かされていてだれも川遊びをしなかった。
このょうに川悪日の一日は、どこの川辺にも人の姿は見えなかった。