現在は筏を見ることさえむずかしく、まして組み方を知る者は皆無に 近い。
ただ北山川下流の筏下りがあるが、あくまで観光用でしかない。
森林伐出の花形、筏はおそらくこれから先、永久にわれわれの前に姿を現すことはないだろう。
携わった伝統技法が消えるのを日のあたりにした者の寂しさを思いながら、少し詳しく記してみる。
筏の組み方は目牙(めが)組みと鐶組みに分かれ、聞くところによると 鐶組みは比較的新しく明治末期か大正初期に生まれたらしく、それ以前、江戸時代には目牙組みの方式をとっていたことはまちがいない。