人工の鉄砲水による流送を狩り川(かりかわ)という.堰を築いて水をためた後、一挙に水門を開き、堰の うちや川下に積み上げた材木を鉄砲水に放り込んで 押し流す手法で、水量の少ない支流など、限られた 場所でしか用いない。
こうして流れ出た材木は本流 の筏組み場まで流して、筏に組んで流す。
手順としては一回日の鉄砲水を起こした後に見計らって 堰とめ、本流にたどりついた材木を筏に組み終あった ころを見計らって二回目の鉄砲水を起こすという作業を繰り返す。
鉄砲増水による狩り川の場合、前もって溝途をつくり、その後に大きな石をとり除き、水の流れぐあいから水路を見通したうえで仮堰を築く。
このとき材木が 引っ掛からないよう、また流れやすくなるように手掛け ておく。
もし材木が引っ掛かり手間どるようなことに なると、せっかくの鉄砲水が減り材木が寄り重なり、 これを「やがら」というが、後日に残すことになる。
そのため、あらかじめ溝途を築いておくのである。
堰出しをするほどでもない少量の材木を流送するときは雨水の利用がある。
晴天の間に川岸まで集材し、雨降りの増水を待って流すのである。
雨の日、材木主や責任者が雨のやむころや 増水量を予測しながら村人を雇って一斉に狩り出しを始める。
作業するかどうかの判断は、現場の地形を熟知したうえ、 長年の勘を要する。