大別して溝途堰(みとせぎ)撰み堰(えらみせぎ)の二種があるが、図では流れの急な個所を想定して溝途堰をあげてみる。
溝途の先端を5、6段組み上げ、溝途を並べる。
順序はふつうの修羅と変わりなく、材木の本(根本のほう)を水中に 突っ込んだまま矢造(やぞう)の上に並べる、つまりふつうの修羅の後ろだけを水中につけた形になる。
溝途の先端からは、ふつうの置き加定修羅を一枚か二枚かける。
滝などの場合は、さらに何枚かの修羅をかけることもある。
図は川上から見た溝途堰である。
点線部はこれから材木を重ねて並べるところで、この材木を重ねる巧斜を「野々子」(ののこ)とよぶ。
図の出来栄えはみごとであるが、実際はこのようにきれいには仕上がら ない。
材木は直材を選んで用いるが、それでも合わせ目などにはすきまが できる。
すきまの大小にあわせて石を詰め、山苔を埋め込み、さらに土を被せれば完璧な溝途堰ができあがる。