前後するが、闊葉樹の伐出について説明する。
闊葉樹の生育地は原生林かそれに近い深山である。
事業主か請負師が現場に山小鼻を建て、大勢の伐採夫が住み込んで働く。
とき には何棟も建てることもある。
作業は、立ち木の受け切り、小切り、搬出の順で行う。
受け切りは重労働のなかの重労働 である。
杉、檜のように矢を打ち込んで倒す方向を選ぶことはせず、多少は受けによって 倒す方向を変えることもあるが、立ち木の傾きに合わせて倒すのが原則である。
切り倒した木は七尺(2.1メートル)から七尺二寸(2.2メートル)に小切りをする。
生産規格は六尺六寸(2メートル)であるが(パルプ材を除く)、素材には太いものや曲がったものがあり、一定の寸法にはとどまらない。
そこで四~六寸(12~18センチ)の余裕を見込む。
パルプ材を除きほとんどの闊葉樹は家具、 製函に用いる。
ただ楢(なら)の直材にかぎっては スキー用として他の材木よりも高価であり、生産量も高かった。
ちなみに材木の計算法は、かつては一締(ひとし)め計算方式または才数(さいすう)、石数(こくすう)の乗算、加算方式を用いたが、今日では立米(りゅうべM
3)方式である。