鞍はいろいろな部分からなる。
図を見ながら各部の名称と装着の方法を述べる。
まず牛の背に鞍をつけ、腹帯を締める。
次
いで、首と肩の接点、ここにはカのかかる強い骨があるが、そこに緒那鞍(おなぐら)をかけ細ひもを回してとめる。
最後に緒那鞍の両端から引き綱を引っ張って鞍返しにかける。
準備が整うと馬子が片手に梶棒、片手に追い綱を持ち「ハイッ」と掛け声をかける。
合図と同時に牛がぐつと力を入れる。
それにあわせて馬子が梶棒を軽く繰作すると牛は楽に木馬を引 き出す。
追い綱を片手に一方で梶棒を繰りながら馬子が油筆に含ませた油を番木に塗ると、木馬は軽く滑るように進む。
牛は休想場所をよく覚えており、そこにくると必ず勝手に止まるる。
日が暮れょうが、いまにも雨が降りだしそうになろうが、 とんとお構いなしである。
しばらく休まなければ絶対動こう
としない。