柄(おけ)材についてふれてみょう。
現在、桶類はポリ製品が全盛だが、昭和10年ごろまでは 木が主体であり桶材の生産がさかんであった。
素性のよい杉を倒して皮をはぎ、よく乾くまで そのまま置く。
乾燥後、板身または呉取(くれどり)
り職人という専門の職人が約一尺八寸(約 55 センチ)に小切り、図のように大鉈で大割りする。
さらに柾目になるよう中割りし、次いで 幅2-3寸(約6-9センチ)に小割り、 厚み5-6分(約1.5センチ)に仕上げる。
仕上がった板身は図のように竹の輪に詰め込む。
これを丸(まる)という。
丸のでき上がりで職人の仕事は終わる。
丸の運搬については、車道のあるところまでは担いで運び出し、馬車や牛車に載せた。
車道のないところでは筏場(いかだば)まで担ぎ出し、筏や小舟に積む。
桶材生産地ではそれを積んだ筏などが川下りする風景がよく見られたものである。