ねずみもち
別名はタマツバキ、テラツバキ、コメツバキ、フユナリ、ウマダオシ、カゼヒキバナ、シロキ、ネズミノコマクラ、ネズミイボタ、ネズミノキ、ネネズミノクソ、ネズミノマクラ、サトーギ、サトシバ、オコージンシバなど。
本州中南部、四国、九州、沖縄、朝鮮半島南部の暖地の海沿いの山野に自生する。
鳥によって各地に運ばれ、土質を選ばすたちまち成長する。
高さ2~8m、直径10~30cm、幹は直立して放任状態でも、よく枝葉を茂らせる。樹皮は暗灰色。萌芽カがあり、土質を選ばない。成長も早く、刈り込みに耐
え、公害にも強く、日なたも日陰地にも成育し、耐潮性があるので、庭木、生垣に広く使われるが、道路や工場の緑化に使われれ、道路の中央分離帯など
にも植栽される。
ネズミモチの名は、その実が熟してポトポトと落ちた様子がネズミの糞に似ていること、葉がモチノキに似ていることの両者を合わせて名づけられた。
6-
7月に新枝の先に、白色の小さい花を群がりつけると、と蝶や蜂が集るが、くせのある臭いがするので、すぐにその場所がわかる。11月頃には熟して1cmほ
どの楕円形で紫黒色になる。この実はヒヨドリなどの野鳥の冬季の主な食物で、アオキなどとともに大好物である。戦時中に、この実はカフェインは含まれ
ていないが、代用コーヒーにした。
材は緻密で薪炭材や柄鎌(えがま)の柄、玄能の柄などの道具類の柄、つえ、ようじにする。
漢名で女貞を当てている例があるが、これは中国産の唐鼠黐(トウネズミモチ)のことで
近縁種のものである。両者とも冬も葉が青々としていて傷まない。それが変わらぬ貞節な淑女を思わせるというので貞女と名づけられた。
樹形や葉はネズミモチに似ているが、全体に大型になる。すぐわかる違いは実はネズミモチが楕円なのに対し、ほぼ球形、ネズミモチの葉は光にかざしても
葉脈が見えないが、これは明確に見える。また開花時期はネズミモチより1ヵ月ほど遅い。明治初期に渡来し、戦後の緑化ブームでマテバシイとともに全国
に普及した。都会ではこちらの方が良く見られるかもしれない。私たちの会社の入り口にも植えられていて、35年たち、もう立派な樹木にそだってきている。
おそらく父が植えたのであるうが、何ごとにも意味づける人だったが、なぜこの木を植えたのかいまだにわからない。
ネズミモチは大きな特徴がなく、見た目がいいとは言えず、実が食べれるわけでもないので、庭園、造園樹としては高級品とは見なされていないようである。
しかし『神農本草経』には強壮、強精剤としての記述があり、『本草綱目』には白髪を変え、目を明らかにするとある。韓国でも百病を除く妙薬として、女貞丸
が製造されている。天日乾燥させたものが生薬の女貞子(トウネズミモチ)あるいは和女貞子(ネズミモチ)で、現在でも高齢者の眼の衰えによく効き、白髪を黒くする作用があるという。葉と樹皮は傷薬、腹薬として使用される。
- 学名
- Ligustrum japonicum
- 科
- モクセイ科
- 属
- イホタノキ属/dd>
- 英名
- Japanese-Privet
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