このコンテンツの解説をさせていただきます。木の情報発信基地を運営しております中川勝弘です。
私は読書は人並みにしてきましたが、文学小説を特に趣味として読んできたわけではありません。ところが2002年、ある東京の出版社から「木偏百樹(もくへんひゃくじゅ)」の続編執筆を依頼されました。編集長をはじめ、営業の方々4名がわざわざ来社され、熱意を感じたのを覚えています。
「木偏百樹」は、父が百種の日本の樹木について書いた自費出版の本で、日経新聞に紹介されたこともあり、よく売れました。父は他にも木や石彫に関する本を6冊出版していますが、その中でも最も多く印刷され、今も販売が続いています。
出版社の方々が続編を望まれた背景には、読者への広がりがあったようですが、当時の私はそれほど樹木に詳しくありませんでした。そこで、その時から本格的に勉強を始めることにしました。
読書中に、ある小説で樹木が取り上げられていると知ると、その作品を入手して読み、情報をその樹木の袋に追加する…という地道な作業を続けました。
そんな中で思ったのが、「クスノキはどの作家がよく書いているのか」「どんな樹木がよく登場するのか」「作家と樹木の関係性はあるのか」など、樹木と文学との関係を可視化できたらということでした。
近年の小説では「木」とだけ記され、具体的な樹種の記述が減ってきていると感じています。もっと日本の豊かな樹木が小説に登場してほしいという思いもあり、作家にも参考になるようなデータベースにしたいと考えるようになりました。
約3年間、国内の有名な文学小説を中心に読み込みました。読むのは通勤時間が中心。徒歩通勤だったため、歩きながら読みました。当時は「ながらスマホ」のような注意喚起も少なく、幸い転倒もありませんでした。
自宅のある富田林から堺市美原区の木材団地まで、信号以外はずっと読書。夜は懐中電灯2つを使って歩きながら読んだ時期もありましたが、危険なため途中でやめました。
読んだ作品は海外文学や現代作品も含まれていましたが、どこまで集計するか決めきれず、長らく未整理のままでした。そのため、2018年1月に一度区切りをつけ、国内の既に鬼籍に入られた作家のみに限定して整理を行いました。
今後もメンテナンスを続け、小説データの追加・更新を行っていく予定です。
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