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木橋とは
川が多い日本では橋を抜きで、人々の生活は考えられません。橋は土地と土地、人と人とを結ぶ物理的にも文化的にも架け橋です。資源枯渇が真剣に考えられるようになった今では長期的なリサイクル、つまり持続的利用が可能な木材を材料とする木橋に、大きな関心が寄せられています。
私たちの祖先は生活や国の造営に多くの木を利用し、文化を創ってきました。カナダ、米国、北欧など他の森林国とは異なった木の文化を形成してきました。多くは用途最優先で進化してきましたが、日本のそれは美的感覚をあわせ持ったものになって進化してきました。建築物では奈良の法隆寺などがそうです。橋では祖谷のかつら橋、大月の猿橋、岩国の錦帯橋などその例は数えきれないほどです。第二次世界大戦以降、日本における構造物の復旧は主に鉄とコンクリートによって担われてきました。しかし現在では、海外からの合理的な考えの流入、感性面から、地球環境面からの問題などから従来の素材の見直しに入っています。ここでは最近見直されてきた木橋について考えて見たいと思います。
構造的な条件から明石海峡大橋のような大きな橋は鉄を主体としたものになるのは誰もが認めるところです。しかし、人が歩く、楽しむ、そして、住まう場所には木の橋の方が合っています。もちろん車も通れる木の橋も含まれます。なぜ、最近の半世紀は特殊な例を除いては木材が使われなかったのでしょうか。いろいろな問題があったからだと思いますが、ひとつの答えとして早く腐ると思われていたからです。
古くからある日本の伝統的な木の橋が今でも利用出来ている例がいくつもありますが、これは維持補修が継続されてきたからです。鉄の橋もメンテナンスはきっちりしています。
木の橋も維持管理のプログラムを計画の時点から考えておけば30~50年程度は充分に利用できます。
いま、現代の人たちは、社会や生活に少し潤いを求めています。そして環境問題の優先順位を最優先にあげて、高耐久化された木材に変身しての再登場です。
フランス ドローム川にかかるクレストの木造橋、同国最長
木材は、腐る、曲がる、割れる、縮む等と、従来から敬遠されてきました。主原因は乾燥が十分されず使用されたためです。工業化木材は、十分な乾燥を行い、欠点を除去、集成するなど均一化し他の素材のように強度を計測することが出来るようになりました。つまり設計するのに耐えるうる産業資材となったわけです。防腐処理については、国内製造ではまだ不十分なところもありますが、海外では、基準も厳しいため、規定の防腐木材を利用し適切な維持管理を継続した場合、長期にわたって利用されている木橋が多数あります。
このような木材を主たる素材として利用した橋は、鉄の橋にくらべ 1.軽い、2.現場工期が早い、3.景観にマッチ、4.環境に優しい、5.デザイン性が高い
等が考えられます。
自然の景観とマッチして、環境に優しい「木橋」。
木橋には、鉄やコンクリートの橋では表現できない優しさ、美しさがあります。
木橋の実例をご覧下さい。
私たちの会社でも小さいものから、大きなものまで数多くの木橋を企画、施工しました。
従来から木造の橋と区別するため、「近代木橋」という表現をする場合もあります。
(1997.10.10より) 最終更新日 2001.2.7
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