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新聞からの木の豆情報

豊かな里山は人の手で

・読売新聞 2008/10/7
琵琶湖西岸の滋賀県高島市針江地区には、170世帯中、107世帯に「川端(かばた)」と呼ばれる、昔ながらの水場が残り、野菜を洗うなど住民の生活に使用されている。川端の井戸でくみ出す地下水の水源は、美しいブナ林と棚田の残る比良山系。水路は、安曇川から引き込んでおり、川端のわき水を集め、琵琶湖に注ぐ針江大川へ。針江大川には、絶滅危惧種の「スナヤツメ」をはじめ、28種の魚が生息する。このような背景には、人の管理が関係している。針江の人たちは、魚の遡上が妨げられないように、年4回、水路の水草を刈る。地元で米を作る石津文雄氏は、1回刈った40tの水草と、もみ殻や米ぬかなどを混ぜ、有機肥料にして田にまくという。また兵庫県川西市の炭焼き名人の今西勝氏が管理する、標高300mの山の木は、幹の直径が約10cm成長する8~10年目以降に、根元から1~2mを残して、チェーンソーで切る。こうすると切り株だけが太くなり、そこから出た新芽は広く張り出した根が吸い上げる栄養を一身に受け、力強く育つからである。このように、豊かな里山の背景には、人々の生活や人の手が関係しているのである。

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