建設会社「金剛組」
・産経新聞 2008/9/21
100年以上続いている企業が5万社もある日本で、1430年の歴史を誇る世界最古の老舗企業がある。大阪の四天王寺のお抱え大工とし、戦乱で数度に渡り、焼失した建物の復興を手がけ、技術を守り、進歩させてきた建設会社「金剛組」である。金剛組は、顧客の信用と職人のきずな。この2つの信頼に支えられて長寿企業となった。「まじめに一生懸命にええもんをつくって、それが世間さまに認められてきたこと。1400年の信頼ですわ」と39代目金剛家当主、金剛組相談役の金剛利隆氏は話す。専属で働く宮大工は約100人おり、すべて金剛組の社員でなく、傘下の8つの「組」の親方の下で働く職人である。加藤組の親方である加藤博文氏は「それぞれの組が職人としての責任と誇りをかけ、技術を競い合ってええ仕事をする。金剛組の宮大工として技術に対する妥協はしません。それが強みです」と胸を張る。宮大工の世界で一人前と認められるまでは、20年はかかるといわれており、材木の持つ癖を見抜いて、釘・金物をほとんど使用せずに木と木をくみ上げ繊細な彫刻も施し、技術を体に染み込ませなければならないのである。また、金剛組の技術は「家族主義」が支えている。親と子。親方と弟子の関係が、宮大工としての必要な技術と誇りを伝えているのである。