青谷上寺地遺跡の木製盾
・産経新聞 2008/9/4
鳥取県埋蔵文化財センターは3日、鳥取市の青谷上寺地遺跡で出土した、弥生時代後期の木製盾の表面から緑色顔料の緑土が確認されたと発表した。緑土が確認されたのは、平成10年に出土した、モミ製の盾2枚。長さ88.1センチ、幅8.5センチの木製盾からは全面に緑土、もう一つの長さ40センチ、幅10.4センチの木製盾の表には、朱とベンガラの赤の上に一部重ねて緑土が塗られている。これまで、弥生時代の顔料は朱の赤、漆の黒が知られていたが、今回の発見により、当時の社会が意外と豊な色に彩られていたことを示している。また、緑土は東アジア最古の使用例がある。大阪府立弥生博物館の内田元専門員は、「弥生時代には稲作が始まり、緑や青は水や豊かな自然を連想させたのだろう。」と想像する。また、奈良文化財研究所考古第3研究室の室長であり、同遺跡整備活用基本計画検討委員会のメンバーでもある深澤氏は「当時、日本での装飾具の色の序列は青や緑、白、赤、黒の順。緑の盾は赤い盾よりも重要な儀式で用いられたのかもしれない。」と話している。