温暖化による生態系調査
・日本経済新聞 2008/8/18
環境省や自治体などは、現状を調べ、保護につなげることを目的とし、地球温暖化が国内の生態系にどのような影響を及ぼしているかを調べる取り組みを相次いで実施している。環境省では、市民などから情報収集し、生物の分布域や活動期間の変化を分析する考えだ。具体的には、セミの分布域やヒガンバナの開花日の変化を調べる考えだ。温暖化の影響は動植物の絶滅のリスクが高まると指摘され、政府間パネルは昨年の報告書で「世界の平均気温の上昇が1.5度~2.5度を上回った場合、動植種の20~30%は絶滅のリスクが高まる。」としている。また、茨城大などによると、「気温上昇・降水量変化により、「日本の森林は大打撃を受ける。」との見解がある。中でも、日本の天然林面積の17%を占めるブナ林は、大幅減少の可能性があり、白神山地も、今世紀末までに、ほぼ消滅すると予測されている。茨城の筑波山では5月からブナ林の位置と状態を1本づつ記録。ブナ林の“戸籍作り”が始まった。大きさ高さ、樹形などから評価し、保護計画に反映させる取り組みもなされている。筑波山は標高877mあるが700m以上でブナ林が増える。田中信行森林総合研究所主任研究員は「筑波山は温暖化の影響がいち早く現れる最前線。」と話す。温暖化とどう向き合うか、今後の取り組みが重要となる。