バイオ燃料実用化に向けて
・日本経済新聞 2008/8/8
いま、関西でガソリンの代替燃料となるバイオエタノールの実用化や量産に向けた動きが加速してきている。三菱重工業では来夏にも、兵庫県の二見工場内に県内で収穫した麦わらや稲を原料として、バイオエタノールを生産する実験施設を建設し、低コストでわらを調達するために、兵庫県の外郭団体である「ひょうご環境創造協会」と連携する。これにより、播磨地方の農家から、わらを効率的に集荷する体制を整えることができる。販売ルートなどは今後検討である。また、世界で初めて廃木材を使った商業プラントを2007年1月に堺市で稼動させたバイオ関西は、生産能力を2009年までに3倍の年4千キロリットルに引き上げる予定である。現在は、大阪府が取り組むバイオエタノールの普及実験向けの供給だが、今後は国内外で製造プラントの納入を目指していく。これら以外にも月桂冠が清酒酵母を使ってバイオエタノールを作る技術の開発を進めているなど、複数の企業が技術開発を行っている。近畿でバイオエタノール実用化への動きが活発な理由として、生産に必要なプラントや酵母を提供できる企業が揃っていて、交通網が整備されているということが挙げられる。
今後の課題は、製造コストを下げることと、ガソリンに対抗できる競争力を確保することである。