被爆樹木のエノキ
・朝日新聞 2008/7/13
“枯死した親木のそばで寄り添うように育つエノキ”“爆風でひん曲がったヤナギ”このような広島を生き延びた被爆樹を写し出した写真集「広島の声なき語りべたち」が15日に発売された。写真は東京生まれの写真家木村早苗さんによるもの。自身にとって、今回が初の写真集となる。木村氏と広島の出会いは今から5年前。パリの写真学校に通っていた際に、広島の被爆を伝える写真と出会い、広島のことをほとんど知らない自分に出会ったという。06年に広島に移住を決め、被爆樹を撮り始めた。原爆を生き延び、黒く焼かれ幹がむき出しになっているエノキを見たときには「なんで、こんな目にあわせたんだと、木が語りかけてくるように思えて涙した。」という。今、東京に住む木村氏は言う。「被爆した建物・橋も残っているのに、広島の人々は命の尊さを真剣に語る人が少なくなっている。」と。この写真を見て63年前の原爆のすごさ、また被爆樹の姿がどれだけの被爆者に勇気を与えたのかが伝わることだろう。