農林業とCO2削減
・日本経済新聞 2008/6/30
京都議定書では2008年~12年度中に、6%の二酸化炭素(CO2)の削減を義を課されている。このうち3.8%森林によって吸収させる予定だ。植物は光合成を行い、二酸化炭素を吸収、そして体内に炭素を溜め込み、木は成長する。逆に言えば、成長していない木は二酸化炭素を吸収していない。その為、議定書では森林が二酸化炭素の吸収に貢献していると考えられるのは、間伐などの手が入った森林に限る。 「伐採しても赤字だから放置されたんだろうね。」東京都森林組合の専務理事で林業を営む清水さんは残念そうに話す。東京都西部の多摩地区には面積5万3千ヘクタールの森林がある。これは、東京23区総面積の約85%に相当する。しかし、かつては林業も盛んだったが、放置され、手付かずのスギ林が目立つ。安価な輸入材によって、伐採しても元はとれず、木材価格は長期の低迷を続けている。現状では京都議定書の6%削減を達成できる見通しがたっていない。 林野庁では追加的な対策として、間伐に動き出した。2007年から6年間をかけ
て210万ヘクタールの間伐予定を、約1.5倍の330万ヘクタールに修正した。総額1兆円を超えるプロジェクトだ。 北海道洞爺湖サミットでは13年以降が議論される。日本の排出量は90年度に比べて、06年度は6.4%増となる。さらなる大幅削減の努力が必要となる。