空から防ぐ松食い虫被害
・朝日新聞 2008/6/18
森林総合研究所などは、秋田を舞台に松枯れの原因となる松食い虫の被害が出た松の木を素早く上空から発見するシステムを来年度までの完成を目指し、開発を進めている。松枯れは、体長1ミリほどのマツノザイセンチュウが特定のカミキリムシについて発生し、マツからマツに広がるもの。放っておくと、2~3年であたり一面壊滅的な被害がでることもある。このシステムでは、小型飛行機から松林を撮影し、航空写真で松食い虫の被害にあったと思われる松を探し、位置を確認。画像に表示し、この情報を全地球システム(GPS)付き携帯型情報端末に発信し、作業員を被害のあった松まで誘導し、その松にカミキリムシが産卵した跡があれば、被害拡大の前に、マツを伐採して処分してしまう。被害地域には、空中からの農薬散布が主流だが、生態系や人体への被害が懸念されている。また、松食いの最北端の被害地は、秋田県だか、地球温暖化の影響による気温上昇により、カミキリムシが活発化し、青森県の平野部に拡大したり、岩手のマツタケ栽培にも被害が出ると環境省の温暖化研究チームは予想している。研究チームのリーダー中北氏は「どの時期に上空から撮影すれば、最も被害木を発見できるか最終確認中。コストの課題をクリアできれば、自治体の対策に取り入れてもらえると期待している」と話している