原生林での森林浴
・日本経済新聞 2008/6/14
ブナ・スギ・ミズナラなど、800種以上の植物が繰り出す、鮮やかな緑に豊かな水・動物。自然の魅力に浸りながら原生林の森林浴が出来る、まさに癒しの場所が京都の北山の芦生(京都府南丹市)にある。森の入口は、南丹市美山町京都大学芦生研究林事務所。研究林のほぼ半分の約2千ヘクタールが人の手がほとんど入っていない原生林で、この森は日本海側と太平洋側に位置し、気候が入り交じりことにより、多様な生態系が形成されている。森には、保水力に優れるミズナラやブナ、幹回りが5mはあると思われるトチの木。そして、倒木や根元を埋め尽くすコケ。光を浴びるとそこには手付かずの自然の美が広がる。水の音やカエルの鳴き声にも魅力を感じる。この森の魅力には、植物学者、写真家など多くのファンが惹きつけられているようだ。また芦生の森は昔、工芸品を作って暮らす木地師がいたり、木材やヒノキの皮を特産
品としていたことから、当時の京の人々が森と暮らしていた姿も伺える。初夏の今、芦生の森では、ヤマフジ、タニウツギなど花盛りの季節を迎えている