黄土に咲いたアンズの花
・産経新聞 2008/6/13
北京から西へ300kmにある山西省第2の都市大同。周辺に広がる、乾ききった黄土高原で、NPO法人「緑の地球ネットワーク」の高見氏は16年前からこの地で緑化事業を続けている。“昼でも氷点下10度。夜では氷点下30度の極寒地”それが大同の冬の姿だ。また、大同の農村は、昔、日中戦争で日本軍ゲリラ討伐により、多くの村民が巻き添えとなったところである。大同へ来た当初、高見氏は、日本軍のスパイと疑われ「日本鬼子」とののしられたこともあった。しかし、高見氏は農民に緑化事業に来た事を説明し、いつしか農民の輪の中に入っていった。高見氏は現在に至るまで、5300ヘクタール1730万本の木を植えた。大同の小学校には「貧困から農民を救う為には、子供に学校教育を受けさせることが先決だ。」と考え、小学校に付属のアンズ果樹園を作り、その収入を授業料に充てる取り組みもしている。果樹園は、これまで50建設させ、春には黄土高原か桃色に色づく。このような、16年に渡る活動を讃え、昨年の9月に開かれた第二回日中省エネ環境フォーラムで曾中国副首相(当時)は「高見氏も14年連続、延べ2500人を組織し、山西省大同の植林を心から感謝しています。」と述べた。日本はこれまでに、中国の近代化を支援してきたが、このような最大級の感謝を得られることは滅多にない。“乾ききった大同の黄土高原”が“緑の高原”となる日は、そう遠くないのかもしれない。