木棺運搬の底板出土
・読売新聞 2008/4/23
運搬などの際に縄を掛けるために使われたとみられる角柱状の突起(長さ17~20センチ、厚さ5.3~8.4センチ)が両端に2個ずつ付いた木棺の底板が奈良県香芝市の下田東遺跡の方墳(5世紀後半)で出土した。このことは古墳時代の葬送儀礼を考える貴重な資料である。底板は、長さ約2.9メートル、最大幅65センチ、同厚さ10センチ、また側板を取り付けるための溝が加工されいた。出土状況から、側板や天井を取り外した後、底板だけを周濠内に残したとみられる。26日から5月11日まで、香芝市二上山博物館で展示される。「埋葬前に、死者の再生を願う儀式を営んだ別の場所から古墳まで被葬者を運ぶのに、こうした形の木棺を使ったのではないか」と奈良県立橿原考古学研究所総括研究員の岡林孝作氏は話す。