老木-淡墨桜
・産経新聞 2008/4/6
岐阜県本巣市、根尾の淡墨桜で知られる高さは約16m、枝張り東西約27m、南北約20mもあるとされる樹齢推定1500年余りの老桜。樹木医である、浅野氏の愛情を込めた手入れが老桜に伝わったかの様に、今年も厳しい冬を乗り越えて開花した。淡墨桜は、昭和34年の伊勢湾台風被害を受けるなど、何度か危機に瀕している桜。小説家である宇野千代が知事に保護を訴えことから、保護されるようになった。浅野氏は「手探りで、腐った部分を見つけ、木の生きた部分がコーティング部分を長い年月をかけて自分で治療していく。」と話す。今は、5本の太い枝の腐った部分を取り除き、コーティングし、支柱38本で支え枝を補強している。また、淡墨桜は、桜好きで日本中の桜を見て回ったとして、有名な評論家、小林秀雄が宇野千代に存在を教えたという。小林の晩年の著書「本居宣長」には、宣長が桜好きであったこと、遺言に墓に桜を植えてほしいと記してあったことなどを書いており、小林秀雄、本居宣長の時代から桜が愛され、親しまれていたことが伺える。根尾の淡墨桜もこれからも愛され、先続けていってほしい。