仮想村民
・日本経済新聞 2008/1/1
自治体の収入の内、借金の返済に充てる割合を示す”実質公債比率”が高い地域では、なんとかしようと、自治体や村民が大奮闘している。人口570人ほどの和歌山県北山村では「仮想村民」制度という、ユニークな取り組みが行われている。「仮想村民」制度は、インターネットで村民登録すると、村の施設利用料の割引などがうけられる制度。この村だけで栽培する柑橘類「じゃばら」の通販で6年間かけて増やしたファンが応援団をかって出た。口コミで評判がひろがり、「仮想村民」は人口の10倍になり、じゃばらの売上げも伸びた。サイトの魅力は、村民から「じゃばらの実がこんなにおおきくなりました」などといった声がかかること。奥田村長は「ネット上の触れ合いを求める人がこれほど多いとは。」と驚いている。一方、人口約千人の長野県王滝村では、村民の大家氏を中心としたボランティア「ずぐだそ応援隊」が奮闘している。昨年9月には、財政難で中止されていた敬老会を会員制で復活させた。瀬戸村長は、「住民参加は心強い。財政は苦しいが、将来に希望のある厳しさだ。」と話す。将来、地域再生にどこまで役立つか注目される。