熱帯林と地球環境
・産経新聞 2007/12/30
京都大学山田名誉教授によると日本人による熱帯雨林研究は1950年代に東南アジア大陸部で吉良竜夫氏、梅棹忠夫氏らによって始められ、現在まで地道なフィールド調査が続けられている。また日本熱帯生態学会は17年前に設立され、現在500人近い研究者が世界の森林の研究を続け、世界の研究をリードしているといっても過言ではないという。また、フィリピン、マレーシア、インドネシアなどの東南アジアの良好な熱帯雨林の森林は1980年代にはほとんどなくなるくらいのスピードで伐採された。その他にも1990年代インドネシアの中央カリマンタン州で泥炭湿地林を100万ヘクタール水田に作りかえる計画が持ち上がり、始まったが農耕地としては不適格であるとして、途中で放置され、荒廃した森林に火災が重なり、大きな被害をもたらすこととなっている。こうなると単に地球環境問題への影響だけではなく、多くの生物の多様性や生態資源が失われ、人々の生活も崩壊する。一度破壊された自然を取り戻すことは極め難しく、火災もさらに頻繁に発生しているのが現状である。地球環境の問題の根本は、現場での情報をいかに正確にとり、それをもとに対策を考えていくかという点にかかっているという。