木の文化と技術力
・産経新聞 2007/12/17
今秋、卓越した技術者を表彰する「現代の名工」にからくり技師の東野進さんが受賞した。からくり技師としての受賞は初めて。東野氏は、「木」の文化日本が、江戸・明治期に作り出した、お客様のところに自動的でお茶を運ぶ、お茶運び人形や、4本の矢を弓につがえて的を狙う人形などに、魅せられ収集と修復に半生を捧げてきた人物。今回の受賞は、それらが評価されたものだ。「現代は、ホンダのアシモなど、企業が自分の技術を世間に見せようとロボットを作るが、江戸時代では、個人の技術を誇るためにからくりが作られていた。現代の技術でも出来るのかと思うものも当時の文献にある。」東野氏はからくり人形についてこう話す。また、お茶運び人形の仕掛けは、ゼンマイで歯車やカムと言う円形の板を動かすものが一般的であるが、なかには、水銀の比重の重さ使った、からくり人形もあったそうだ。明治以降にはヨーロッパ文化の影響で、日本でもからくりの部品に金属が使われるようになった。しかし、東野氏は「自在に形を変え、伸び縮みをする金属と同じようなものを木で作った日本人の技術はすごい。」と話し、この話からも、日本の技術力がいかにすごいかがうかがえる。