森林限界
・読売新聞 2007/11/7
山梨県河口湖町、富士山北ろくの河口湖畔の畑の一角では、10月半ば、赤ワインの原料となる「ピノノワール」が収穫された。これは10年前には見られなかった光景である。ここは標高870メートル前後で、冷え込みが厳しいため、果樹栽培には適さないところであった。しかし、1989年以降一度も10度を下回らず、11度を超える年もあるという。温暖化がもたらしたものである。また、標高2500メートル付近には、カラ松が枝を横に伸ばし生えている。これは強風をさえぎる樹木もなく、厳しい環境にさらされ、まっすぐに生育しないという、樹木が密生する上限の「森林限界」に生えるカラ松の特徴である。しかし、実際にはこれより100メートル上まで樹木が密生、森林限界は温暖化で加速されているようである。いつか森林上に延び、富士山の赤くそまる岩肌の面積は減るのであろう。また、温暖化により山頂のコケにも変化が現れ、植物の生態系は変わりつつある。