台場クヌギ調査
・朝日新聞 2007/10/25
「台場クヌギ」とは、クヌギを地上1-2メートルで水平に切って、「台場」を作ると切口から複数の枝が出る。枝がしっかり育つのを待って、区画を分け、同じ木の枝は約10年おきに切って、この枝を炭焼きに使っている。この方法は新芽の出る位置が高く、鹿に食べられにくく、クヌギをはじめから育てる手間を省く工夫である。この「台場クヌギ」は、大阪、兵庫の北摂地域で「池田炭」、「菊炭」と呼ばれる高級炭の原料とされているが、今危機にさらされている。まず、炭職人の減少、この台場クヌギの穴を好んで産卵するオオクワガタを採ろうとする人が、木を傷付けて枯らしてしまう被害が絶えないのである。この炭は菊の花のように断面が美しいだけではなく、煙や音が出にくいと茶席で重宝されてきている。豊臣秀吉も愛用したといわれている。兵庫県では「人と自然が共生してきた里山の象徴」と保護を前提に数や分布の調査を始めた。