起請文木簡
・産経新聞 2007/10/6
水運の要衝であった琵琶湖の最北部の塩津港遺跡で、起請文が書かれた平安時代後期の木簡が55本見つかったと、滋賀県の教育委員会が今月5日に発表した。起請文とは、宣誓内容が絶対に間違いないことを主張するため、誓約が破られた場合に「神仏などの呪術的な力によって自分は罰を受けるだろう」と宣言する文章。文面には「荷物を失ったら神罰を受けます」などと書かれており、当時の水運業が盛んであった塩津港で、水運業者が信頼性を高めるために起請文を書き、必死にPR合戦を行っていた姿が浮かんでくる。その一方、「御庄のお供え米について、又安‥六人は米を一升も盗み取っていません」といった起請文も見つかっており、身の潔白を神に誓い疑いを晴らそうとしていた業者もいたことが伺える。今回の出土について、奈良文化財研究所の渡辺史料研究室長は、「最大であり、かつ起請文という類例のない木簡として画期的発見である。」と話している。