但馬高原植物園
・日本経済新聞 2007/9/14
「但馬高原植物園」は植物園というより英国の大きなお屋敷が持つ「ガーデン」のようである。標高700メートル、17ヘクタールの敷地の中は自然をそのまま生かしながら、四季の草花や樹木を楽しめるようになっている。山辺の道があり、谷があり、湿地がありと見どころはいろいろある。しかし、何といっても一番の見どころは、わき水と湿原があり、神秘的な緑の景色に抱かれた樹齢1000年以上といわれている和池の大カツラである。幹周り16メートルのカツラは、朽ちてしまったところもあるが、根はしっかりと大きな体を支えている。また、この植物園では、「オーナーズ・ベンチ」というシステムがあり、50000円の登録料を払うと、背もたれの部分に自分の名前を入れた銘板をつけてくれる。そのベンチには優先的に座れ、2人まで10年間入園料が無料になるという特典付きである。そして「集いの庭」では、クリ、カエデ、ブナ、コナラなど日本特有の樹木がのびのびと枝をのばし、折り重なる葉の中を陽が差し込み、何十種類という色が生まれる。奥深い緑の中で、ニセアカシアの明るい黄緑がキラキラと浮かび上がるさまが美しく、自然を感じることのできるすばらしい植物園である。