散乱するヤシの木
・日本経済新聞 2007/8/24
9つのサンゴ礁の島からなるツバルの浜辺を歩くとヤシの木々が横倒しになった異様な光景がある。ツバルは最も高い場所でも海抜5メートルであり、現在海面がじわじわと上昇している。そのため、波が根元を洗うようになり、ヤシの木は真っすぐ立っていられなく横倒しとなったのである。国土面積は公式には16平方キロメートルだが、ターバウ・テイ天然資源・環境相は「海面上昇で2平方キロメートル減ってしまった」と話す。そのうち1万人の国民はここでは住めなくなり、すでに約2千人が国外に脱している。また、米国フロリダ半島の先端。マングローブやフラミンゴなど野生動植物の楽園であるエバーグレーズ国立公園が大西洋に静かに沈み始めている。周辺の海面はこの75年で25センチ上昇。「海水の流入で淡水の湿地帯が失われれば、様々な鳥類の生存が危うい」(キムボール園長)と懸念する。