植林地確保の製紙会社
・読売新聞 2007/8/27
カナダ西部のアルバータ州に木材パルプ生産会社「アルパック」の工場がある。アルパックは、王子製紙と三菱商事が共同出資で設立した、北米最大規模のパルプ工場である。面積が韓国とほぼ同じの森林の伐採・管理権を州政府から入札で獲得し、1993年に生産を開始、生産量は操業開始直後の年間55万トンであったが、現在は63万トンと順調に拡大している。しかし、現在アルパックのように日本の製紙会社が自社で確保できる木材チップは少ない。製紙原料の価格はここ数年、エネルギーや希少金属と同様に上昇し、特に木材チップは中国の経済成長、欧州で発電用の需要が高まっている影響を受け、日本の最大の輸入先である豪州産広葉樹チップは、2002年平均の1キログラムあたり14.2円であったのが、2006年は18.6円に値上がりとなった。木材チップは、2015年には世界で森林500万ヘクタールに相当する量が不足するという予測もあり、木材チップを安定的に調達できる独自ルートの必要性がある。木の成長が速い豪州やブラジルなどで、自社の保有林を増やす取り組みが不可欠である。また、日本製紙は丸紅と組み、昨年末にブラジル北部で、東京23区の2倍近い面積の植林地を買収し、「2015年に20万ヘクタール」を確保する目標を定めた。王子製紙も、2006年度に約17万ヘクタールだった海外植林地を、2010年度に30万ヘクタールまで広げる計画である。米系の投資ファンドなども2000年以降、海外の植林地への投資を活発化させている。優良な植林地の確保を巡り、投資ファンドと買収価格のつり上げ競争に陥る懸念もある。